【目次】

【「当方」って自分のこと?「読み方」と「意味」】

「読み方」

「当方」は「とうほう」と読みます。

「意味」

「当方」は「自分の属している方。自分の方。こちら」などの意味をもっています。ビジネスシーンにおいては、自分や自分が属する組織、自分と同じ組織に属している第三者などを指し、おおむね「私たち」という意味合いで使用されます謙譲語ではありませんが、「私たち」よりも改まった印象の言葉となります。人の集合体を指しているため、男女の区別はありません。男性も女性も使えます。


【どんなときに使う?】

プライベートでは、「当方」という言葉を使う機会はほとんどありませんね。「当方」はビジネスシーンにおいて、口頭やメールでよく使われる言葉です。

■社外の人に対し、組織や団体としての意見や立場、状況などを伝える場合

■担当者が確定していない事案の回答や、組織全体を表す場合

■担当者など、個人名や担当部署などをあえてぼかす場合


【そのまま使える「例文」8選】

状況に応じた例文をいくつかご紹介しましょう

■社外の人に対し、組織や団体としての意見や立場、状況などを伝える場合

・「まずは当方の立場と方針について説明させていただきます」
・「この件は一旦持ち帰り、当方にて協議のうえ対応させていただきます」
・「当方といたしましては、お申し出について特に異議はございません」
・「イベントには、当方から3名が出席する予定です。

■担当者が確定していない事案の回答や、組織全体を表す場合

・「当方にて日程を確認でき次第、ご連絡差し上げます。少々お待ちくださいませ」
・「お問い合わせの件につきましては、当方でただいま調査中です」

■担当者など、個人名や担当部署などをあえてぼかす場合

・「当駐車場内でのトラブルにつきましては、当方は一切の責任を負いかねますことを予めご了承くださいませ」
・「先般ご連絡いただいた件は当方の不備でございます。大変申し訳ございませんでした」


【「言い換え」表現や「類語」】

■弊社 ■小社 ■私ども ■手前ども 

「弊」も「小」も、自分のことをへりくだる際につける語です。従って、「弊社」「小社」とは、自分の属する会社を表す謙譲語です。「当方」同様、社外に対して使われますが、「自分の属している方」というやや曖昧で広い意味をもつ「当方」に対し、「弊社」は自分の属している会社自体を指す言葉となります。「私ども」「手前ども」は「弊社」よりも、ややくだけた謙譲表現です。

■わが社 ■当社

社外に対し使用する「当方」に対して、「わが社」や「当社」は基本的に自社内で使用する言葉です。

■小職 

自分個人を指す一人称としては、「当方」ではなく、「小職(しょうしょく)」または「私」を使用します。ただし、「小職」は【官職についている人が自分をへりくだっていう語】。自分の役職を謙遜して表す言葉のため、管理職などそれなりの役職の人が使うのが適切です。一般的には「小職」よりも「私」が多く使用されます。


【対義語は?】

言葉の意味として「当方」の対義語に相当するのは、「先方」です。「相手の人」「相手方」を示す言葉であり、「当方」同様、敬語表現ではありません。自社内や身内で会話をしているとき、「先方に確認中です」「先方より連絡がありました」のように、その場にいない第三者を指して使用する表現であり、先方が同席した場で直接用いることはありませんので、注意してくださいね。


【仕事で使うときの「注意点」まとめ】

■個人を指しては使わない

「当方」は、「私たち」という意味合いの言葉であり、自分ひとりを表す表現としては使用できません。ですから、取引先の担当者とのやり取りで、部署もしくは社としての方針などを問われた場合には使用できますが、個人的な依頼であれば、「当方」ではなく「私」を使用します。

■へりくだる必要のある場面では使わない

上述した通り、「当方」は謙譲語ではありません。社外の相手に対してへりくだった表現をする必要がある場面では、「弊社」「小社」「私共」などの言葉を使用します。

■男女の区別はない

「当方」は性別による区別はなく、男女問わず使えます。

■自社内では使わない

「当方」は「自分の属している部署やグループ、会社」の一人称ですから、基本的には社外で使用する敬語表現です。それは、自社内で「当方としては」と表現した場合、それが会社全体を指しているのか、ほかの部署あるいは課等と区別しているのかが曖昧になる不正確な表現のためです。例えば、社内で利益目標や方針などを検討する際には、「わが社としては」あるいは「当課としては」「うちの部署では」などと言い換えるのが正解です。

■正式なビジネス文書での使用は控える

正式なビジネス文書において、「当方」は使用しません。自社のことは「弊社」、複数の会社を表す場合は各企業名を列記することが一般的です。「当方」は社外に向け、口語やメールにおいて用いられる表現です。

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「当方」とは「自分が所属している部署やグループ、会社、社内の第三者」などを意味する言葉です。「弊社」「小社」などと異なり、謙譲表現ではないため、へりくだる必要のある場面では使いません。ビジネスシーンで幅広く用いられる言葉ですから、正しい使い方を身に付けておきましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『敬語マニュアル』(南雲堂)/『新選漢和辞典Web版』(小学館) :