【目次】

【「クリティカル」とは?「意味」】

日本語として使われるときの「意味」

まずは『デジタル大辞泉』で「クリティカル」を検索してみましょう。

1 )重大なさま。危機的。
2 )批判的。

3 )物理学で、臨界であるさま。また、ものごとが限界に達するさま。

「クリティカル」は意味が幅広いため、さまざまなシーンで使われていますが、「重大な」「危機的な」といった意味合いで使用されることが多いようです。カジュアルなひと言で説明するならば「やばい!」がもっとも当てはまるかもしれません!

「ビジネス文脈」ではどう使われる?

ビジネスシーンでは、「クリティカルな状況」や「クリティカルな案件」のように使われ、主に「危機的な」「致命的な」という意味で使われます。例えば、コンピューターやソフトウェアの致命的なエラーを「クリティカルエラー」と表現します。

■英語の「critical」の「意味」

語源は英語の[criticize]。形容詞にした[critical]からきているカタカナ語ですが、もとはギリシャ語の「見分ける」や「分析する」という言葉からきています。英語の[critical]には、大きく分けて3つの意味があります。

1)重大な、重要な
2)物事の長所と短所について考察すること、厳しく批判すること。懐疑的な、批判的な。
3)命にかかわる危機や重篤な状態

「クリティカル」は、しばしば「批判的」というマイナスの意味で訳されますが、「クリティカル=否定的」と考えるのは間違いで、正確には「客観的に分析して良し悪しを吟味した(見分けた)」という意味。従って、クリティカルな視点で見た結果、肯定的な評価になることもあるのです。


【「言い換え」「類語」表現】

部下「部長、例の案件はかなりクリティカルな状況です。それでも対策を取らないとおっしゃるのですか?」
部長「ずいぶんと上司に対して、クリティカルなもの言いだな。君のそういう態度こそがクリティカルなんだよ」

上記を訳してみましょう。

部下「部長、例の案件はかなり危機的な状況です。それでも対策を取らないとおっしゃるのですか?」
部長「ずいぶんと上司に対して、批判的なもの言いだな。君のそういう態度こそが致命的なんだよ」

このように、「クリティカル」は意味の範囲が広く、使い勝手のよい言葉です。言い変え表現も覚えておきましょう。

■重大な ■危機的な ■客観的な ■分析的な ■致命的な ■批判的な


【ビジネスでの一般的な「使い方」がわかる「例文」】

■例文1:「納期に間に合うか、クリティカルな状況だ」

「危機的な」という意味として使われています。こうした使い方が多いですね。

■例文2:「部下の査定は、常にクリティカルでなければなりません」

「クリティカル」が「客観的な分析に基づいた」という意味で使われています。

■例文3:「マスコミの報道を、クリティカルな視点をもたずに鵜呑みにするのは危険だよ」

こちらも、与えられた情報が本当に正しいものかどうか、「客観的に吟味する」といった意味になります。

以下、ビジネスで「クリティカル」が使われるシーンを別の言葉で言い換えてみましょう。

■例文5:このプロジェクトは、会社の将来にとってクリティカルな(極めて重要な)意味をもっています。

■例文6:顧客満足度は、当社の成功にとってクリティカルな(欠かせない)要素です。

■例文7:サーバー障害は業務にクリティカルな(深刻な)影響を与えました。

■例文8:コスト削減は、今期の経営戦略においてクリティカルな(鍵となる)ポイントです。

■例文9:我々の業界においてスピードは、競争上クリティカルな(不可欠な)要因です。

■例文10:重大なミスが発生したため、対応をクリティカル(最優先)にしています。

■例文11:このフェーズでの判断は、今後の成否を分けるクリティカルな(決定的な)局面です。

■例文12:品質管理は製造工程でクリティカルな(要となる部分を)担っています。

■例文13:サプライチェーンの断絶はクリティカルな(致命的な)リスクとみなされます。

■例文14:リーダーにはクリティカルな(重大な)状況でも冷静に判断する力が求められます。


【「クリティカル」関連の知っておきたい「用語」】

■クリティカルヒット

「とどめの一撃」や「致命的なダメージ」のこと。これに対して「クリーンヒット」は、 野球の「見事な安打」からきた言葉で、「企画・興行などが当たること」を意味するポジティブな言葉です。

■クリティカルシンキング

物事や情報をそのまま受け入れるのではなく、多様な角度から検討し、論理的・客観的に理解すること。一方で「ロジカルシンキング」は論理的思考と呼ばれ「物事を要素ごとに分解し、筋道立てて考えること」を意味します。

■「クリティカルパス」とは? 建築分野と医療分野での微妙な違い

「クリティカルパス」は、建築分野では「プロジェクトの全工程を最短時間で完了するために重要な作業経路」といった意味で使われます。プロジェクト推進にあたっては、「クリティカルパス」をいかに短くしてコストを圧縮するかという観点で管理がなされます。一方、医療分野における「クリティカルパス」は、治療や検査の標準的な経過を説明するため、入院中の予定をスケジュール表のようにまとめた計画書を指します。

■クリティカルポイント

消費者の関心を引きつけるために必要とされる、小売販路の数や広告量のこと。望ましい結果を得るために必要とされる十分な数あるいは量。物理・理工の分野では「臨界点」や「臨界質量」を言います。

■クリティカルエラー

コンピューターの致命的なエラー。また、ソフトウエアが修復不可能な状態を指します。

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「クリティカル」は意味が幅広いため、使い勝手がよい言葉として、さまざまなシーンで使われています。とはいえ、乱用すると「やばい! まずい!」を連発しているようなもの。そうなればビジネスパーソンとしての信頼感には結びつきそうにありません。しっかりと意味を理解して、ここぞというシーンで使いたいものです。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『すっきりわかる! 超訳「カタカナ語」事典』(PHP文庫)/『ビジネス用語図鑑』(WAVE出版)/『情報・知識imdas』(集英社)/『カタカナ語すぐに役立つ辞典』(夢文庫) :